碧は喜ぶでもなく、特に驚いた様子もなかった
目を伏せたまま鞄の金具を止めると、後ろの席の机の角にゆっくり腰掛け腕を組んだ
「ふうん。。」と呟き、しばらく考えているような顔をした

でもその顔は、明らかに面白くないといった表情をしているのを、瑠璃は見抜いていた         


「加奈子、からかわれてんじゃないの?」

碧は、薄ら笑いを浮かべて言った

サキはキョトンとした表情になった
はしゃいでいた空気が、一瞬にして曇る


「え?

えー…
そんなことないっしょ?
先輩本当にいい人らしいよ。
ねぇ?」

サキは動揺した目で瑠璃を見た

瑠璃は、まだ碧から目をそらせずにいた
ただ黙って頷いた


「まぁよかったんじゃない?」

碧はそう言うと、ヨイショといった様子で腰をあげた

「じゃ、あたし帰るね」

碧は、2人の返事を待たず背を向けた