甘い罠

「でも木村さんは、ぜ~ったい私より瑠璃の方がタイプですよね?

私そういうの分かっちゃうタイプなんですよね~」

碧は木村の顔を覗き込んで言った

木村は、参ったなという顔で笑っている

「そんな訳ないじゃない
もう碧酔ってるんじゃない?」

瑠璃は碧の腕を引っ張り、「すいません」と木村に目配せした

碧は両手で頬を押さえ「はぁ~」と大きくため息をついた

「ほーんと、私ちょっと酔っちゃったみたい(笑)

ごめんなさい、お手洗い行ってきます」

碧は少しよろけながら立ち上がった

「大丈夫?」

瑠璃が一緒に立ち上がろうとすると、「ここにいて」と碧は声をひそめて言った

「もう~瑠璃ってばちょっと照れちゃってますけど、本当いい子なんで木村さん、よろしくお願いしますね~

お人好しでねぇ、こういう時も付いてきて介抱してくれたりするんです

合コンの時とかもですよ?

だから出会い逃しちゃうんだから」

碧は正気なのか酔ってるのか瑠璃には判りかねた

酔ったフリして気を利かせてるのかもしれないとも思った

えらく自分のことを木村の前で持ち上げてくれたが、瑠璃にはそれが逆に気味が悪い気もしていた

碧がそんなに友達思いとは、到底思えなかったからだ