甘い罠

「8時15分か…

もうすぐ木村さん来るね」

碧はカルティエの腕時計に目をやった


「ねぇ碧?

どうして木村さんを私に紹介しようと思ったの?」

瑠璃がずっと気になっていたことだった

碧がわざわざ男の人を紹介してくれるというだけでも、瑠璃にとっては妙なことだったのだ
だからここに来る間にも、あれこれ思い巡らしていた

今聞いた話を考えれば、尚更腑に落ちなくなった

2ヶ月前とはいえ、恋人のような存在の杉山を急に失ったのだ
まだ落ち込んでいたって不思議じゃない

そんな時に、友達に男の人を紹介しようなんて気分になるだろうか?

ましてや碧と瑠璃は、これまで2人で会ったりすることさえなかった程度の仲だ


それに…

その木村という男は、友人に紹介するにはちょっと訳あり、という気がして、ますます
碧の意図が解らなくなるのだった