甘い罠

「バカよねぇ…

もう50前だったんだからお腹なんか気にすることなかったのに」

碧は頬杖をつき、グラスの中の氷をつついた

その顔は、生前の杉山が、少し出てきたお腹をさする姿でも思い出しているかのよ。うに瑠璃には見えた


「でもね、本当のところは私にも分からない…

杉山一人だったら事故ってことですぐ解決したんだろうけど…」

碧は唇をキュッと閉じて、首を傾げた


「一人だったら…て?」 

瑠璃は意図が分からず訊ねた


碧は「うん…」と小さく頷き瑠璃を見た

「同じ日の、同じ時間帯に…

もう一人、非常階段から落ちた人がいるの」

「えっ?」
瑠璃は目を見開いた

「誤解しないでね?

その…
もう一人っていうのが…


木村さんなの」