甘い罠

太腿にかすかな振動を感じた

瑠璃はまだ、バスの窓に額を当てたままだった

トートバッグをあさり、振動し続けている携帯を掴んだ

コンパクトを開くように、慣れた手つきで携帯を開いた

新着メール1件

碧からだ


(瑠璃、もうすぐ着く?
木村さんも仕事で少し遅れるみたい。
店はXYZだから分かるよね?

ちょっと寒くなってきたから私先に入ってるね。
津崎で予約してあるから、席は店員さんに聞いて。じゃ、よろしく~(^^)v)

XYZは、何度か碧達とも行ったことがある店だった

瑠璃は携帯をしまうと、財布から小銭を出し、降りる準備をした