それから5分ほどで、古いアパートに着いた。 赤サビの目立った階段を上って一番奥が、高橋勇樹の部屋だった。 「散らかってると思うけど、適当に片付けて使って。部屋の中のものは、勝手に使って構わないから。」 「…本当に…?」 なんか、まだ信じられない…。 「…ああ。何かあったらここに。」 …と、高橋勇樹はチラシの裏に携帯の番号を書いて、私に渡してくれた。 「これ、鍵な。一つしかないから、失くすなよ。」 高橋勇樹は部屋の鍵を私の右の手のひらに乗せ、早くも部屋を出ようとしていた。