記憶の向こう側





しばらくお互い無言のまま歩き続けて…。







「…俺の部屋に住むか?」



「…え?」




まさか…、いきなり同居?




ほとんど知らない人なのに…。




すると、高橋勇樹は私の顔から目線を外しながら、早口で言った。




「変に思うなよ。俺は店で寝泊りするから。あんたが休暇の間、好きに使えよ。」



「でも…」




そうは言われても、やすやすと部屋なんて借りれないよ。




でも高橋勇樹は、私の言葉をさえぎりながら言った。




「今から案内するから、付いて来いよ。」




高橋勇樹は足早になって、自分の家の方向に歩き出した。




旅館からほとんど出たことのない私は、迷子になっても困るので、とりあえず付いていくことにした。