記憶の向こう側




午前中の大広間。




私は昼から行われる宴会の準備中。




「田島さん。」




一緒に準備の作業をしていた先輩の仲居さんに呼びかけられ、私は作業の手を止めた。




「はい。」




先輩仲居さんは、私の並べた食器を指差して、気持ちの入ってない声で言った。




「そこ、食器の配置、間違ってるわよ。」




よく見ると、食器の配置が途中から間違えて置かれていた。




「あ…。すみません、すぐ直します。」




私は先輩仲居さんに謝って、配置を直しに行こうとしたら、さらにその仲居さんは私を睨みながら言葉を放った。




「ここも。お箸置いてないわよ。」




うそー!?




「はい!すぐ行きます!」