記憶の向こう側





「今日は検診に行ってて、遅くなったの。」




私はフォークでパスタをくるくる巻きながら言った。




「そっか、いつも大変だなぁ。」




勇樹も私と同じようにフォークにパスタを巻き付けて、それをパクリと口に入れた。




「苦ではないよ。島川先生はちゃんと私の話を聞いてくれるし。ただ…」



「『ただ…』、何だよ?」




勇樹はチラリと私の顔を見た。




「うん、最近梓さんに会わないな…って…。たまたまタイミングが合わないだけだろうけど…。」




すると勇樹は、少し難しい顔をした。




「そうなのか?…そうだな、そのうち会えるだろ」



「…うん、そうだね。」




そう言って、私は最後のフォークに巻き付けたパスタを口に入れた。




「…うまかったか?」




勇樹が聞いてきたので、私はニッコリしながら顔の前で手を合わせた。




「うん、ごちそうさま。」