記憶の向こう側






「ただいま。」



「おう、叶恵。お帰り。」




家に帰ると、おいしそうなにおいがしてきた。




「勇樹…、夕飯作ってくれてるの?」




私は姿の見当たらない勇樹に声をかけた。




すると、キッチンの方から勇樹の声が聞こえた。




「おう。最近の叶恵の料理もうまいけど、叶恵も仕事で疲れてるだろうし、たまには俺も作らないとな。」




一緒に暮らし始めた頃は、勇樹がよくご飯を作ってくれてたけど、最近は私もちょっとずつ料理を覚えて、作るようになっていた。




今日も私が作ろうと思ってたけど…、そんな勇樹の優しさが、すごく嬉しい。




「もうちょっとでできるから、待っててな。」




勇樹の優しい声がキッチンから聞こえた。




「うん!ありがとう。」




私は持ってたバッグを下ろしながら勇樹にお礼を言った。