記憶の向こう側





「ただいまー」




午後3時頃、早目に仕事を切り上げた勇樹が帰ってきた。




「勇樹!お帰り。」




私が笑顔で勇樹を迎えると、横から梓さんが勇樹に挨拶をした。




「叶恵ちゃんの病院の看護師、浜田梓です。お邪魔してます。」



「あ…どうも。叶恵がいつもお世話になってます。」



勇樹はごく普通に挨拶しただけなのに、梓さんは少し興奮していたようだった。




「叶恵ちゃんから話には聞いてたけど、なかなかの男前ね!さすが叶恵ちゃん、男を見る目があるわ。」



「梓さん…、恥ずかしいです…。」



「ま、いいから、勇樹くんも座ったら?…って、私の家じゃないけど。」




真っ赤になっていたら、いつの間にか梓さんが場を仕切っていた。




「ははは。じゃ、遠慮なく。…あ、あの写真見てたんだな?」




勇樹はテーブルの上のアルバムに気付いて、私に話しかけた。




「うん。」