「私も見たのよ。この写真…。」
旅館の仕事が休みだったこの日、梓さんを家に呼び、話を聞いてもらった。
梓さんは夜勤明けにもかかわらず、興奮気味に話をしていた。
「彼…、山下くんがまたうちの病院にやってきた時、追い返そうと思ったの。叶恵ちゃん、絶対迷惑がると思ったし。だけど、『この写真をどうしても見てもらいたいんです』って、私にその写真を見せてくれたのね。」
梓さんはその時のことを思い出していたようで、息を軽く吐いて、また話し始めた。
「…一目見て、びっくりしたわよ。だって…、叶恵ちゃんそのものなんだもの。これは叶恵ちゃんにも見せなきゃって思って、旅館の場所を教えたの。…勝手なことして悪かったけど。」
梓さんは私に少し申し訳なさそうな顔をした。

