記憶の向こう側





ピンとこない





私は首を横に振った。




梓さんはそんな私の顔を覗き込みながら言った。




「叶恵ちゃんのこと、話しても大丈夫…?」




私はコクリとうなずいた。




何となく、分かった。



梓さん、私がその「杏子」さんだという可能性が高いと思って…



私が記憶をなくしてることを話すつもりなんだ…。