記憶の向こう側





驚いた私達に驚いた山下敬太さんは、更に説明を加えた。




「はい…。もう何か月経つだろう?まあちょっと…俺にも原因あるけど…。」



「喧嘩みたいなもの?」




梓さんの質問に、山下敬太さんは思い出すように下を向きながら答えていた。




「はあ…まあ、トラブルですね。杏子が悩んでたのは知ってたけど、俺は何もしなかった…というより、できなかった。そして、気が付いたら姿が消えてて…」



「ずっと探してたんだ?」



「はい。事故に遭ったり、万一のことも考えて、病院を回っていたところです。」





ここで、梓さんが私に耳打ちしてきた。




「叶恵ちゃん、彼に見覚えはある?」