記憶の向こう側





その時。




「君、一人?」




声を掛けられ振り向くと、知らない若い男の人が立っていた。




何?

誰?




「いえ、その…」



「退屈だろ?こっちで俺達と遊ばない?」




よく見ると、若い男が4、5人集まっていた。




ヤバイ!

ナンパ?


逃げなきゃ!!




でも…




「ほら…」



と、強い力で手を引っ張られた。





振りほどけない!

力が強すぎるよ。



助けて、勇樹…!





「早く行こーぜ!」




強引な男達。


掴まれた手が痛い。




「ちょっと待って…」




「ちょっと待てよ!!」





私が抵抗しようとした時、いきなり聞き覚えのある怒声が響いた。




「勇樹…」




勇樹は見たことないくらい怒った顔をしていた。




「俺の女になにしてんだよ!?」



「いや…その…一人だったし…」




男達は勇樹の怒りに驚いて、どぎまぎしてる。




「ごちゃごちゃうっせーよ!てめぇらまとめてぶっ殺してやる!」



「す…っ、すみませーん!」




男達は慌てて、雨の中へと飛び出していった。