記憶の向こう側





「叶恵、乗り物強えぇな。すげぇや。俺、ちょっと休憩。」




ちょっと気持ち悪そうにしながら、勇樹はおもむろにベンチに腰かけた。




「ちょっととばしすぎたかなぁ?勇樹、大丈夫?」




私はまだ平気だけど…、勇樹が心配で、隣に腰かけた。




「おう。休憩すればまだまだいける。ジュース買ってくるよ。叶恵は何がいい?」



「スポーツドリンク!」



「分かった。そこで待ってろよ。」




そう言って休憩もそこそこに、勇樹は小走りで去っていった。





一人になったベンチ。



ふと、空を見上げた。




朝はあんなに晴れていたのに、気が付くと黒い雲が空を覆っていた。




今にも雨が降り出しそう…。






勇樹、遅いな…。