記憶の向こう側





「おいしそう!」




着いてまだ何も乗ってないけど、お腹が空いたので、早速お弁当を食べることにした。




「叶恵、食べてみ?」



…と言いながら、勇樹が唐揚げを箸で一つ取って、私の口元に近付けた。




「あーん。」




恥ずかしくてくすぐったい気持ちだけど、私は勇樹が近付けてくる唐揚げの大きさに合うように口を開けた。




私の口の中に、勇樹が唐揚げをそっと置いた。




モグモグ…




「おいしい!」




私はその味を顔全面に表した。




「だろ?うちの唐揚げは、どこからも評判がいいからな。」



「うん!いつものお弁当の味!私も好きなんだぁ。」



「おう。毎度ありがとな。」




あまりにおいしくて…



気が付けばお弁当の中身はすっかりなくなってた。




「おいしかったぁ。」



「じゃあ次は乗り物行くか?それとも休憩する?」




勇樹がお弁当を片付けながら、私に尋ねてきた。




「乗り物!早く乗りたくて、ウズウズしてるんだ。」




せっかく遊園地に来たんだもんね。



やっぱり乗らなくちゃ!




「よし、じゃあ叶恵、ジェットコースターからな!」




勇樹も嬉しそうにしながら立ち上がった。




「うん!行こう!」





こうして午後は乗り物三昧。




ジェットコースターに始まり、ゴーカート、コーヒーカップ、メリーゴーランド…



とにかく乗れるものは全て乗った。