記憶の向こう側





私の片付けが終わったと同時くらいに、勇樹がお風呂から出てきた。




「叶恵!いい湯だったぞ。次、入ってこいよ。」



「うん。」




やばい…。




湯上がりのちょっと髪が濡れている勇樹にもドキッとした。




特に一緒に暮らし始めてから、勇樹の一挙一動に過敏に反応してしまう。




自分でもどうしたかというくらい…。





湯船に浸かってそんなことをずっと考えていたのでのぼせかけた。




お風呂から上がって勇樹の方を見やると、既に寝息を立てて眠っていた。






勇樹…。毎日大変だろうな…。





寝相によってはがされかけた布団をそっと勇樹にかけて、私は部屋の電気を消した。