記憶の向こう側





「叶恵、赤くなってる。」



「え…」




ドキドキを止められないでいると、勇樹に顔をのぞき込まれた。




私の胸は更にドキドキ。




「叶恵…。」




勇樹は真剣な顔で私を見つめた。




「ゆ…、勇樹…?」




え…


どうしよう…





私が戸惑ったその瞬間、勇樹はいたずらな笑顔を浮かべた。




「かわいいな!大丈夫だから。襲ったりしねーよ。叶恵に合わせるし。じゃ、俺、風呂入るな。」



「う…、うん。」



右手をひらひらとさせて、勇樹はゆっくりお風呂の方へと向かった。




勇樹がお風呂に入ってる間、私は食器の片付け。




でもさっきの余韻が残って、ドキドキが引いてくれない…。