記憶の向こう側




考え込む私をしばらく見ていた看護師さんは、ふと何かを思い付いたようだった。




「そうだ。私の妹の名前、使わない?」



「え…?妹さん、ですか?」




なんか、妹さんに申し訳ないような…



とか思っていたら、看護師さんは私の気持ちを読んだかのように話し始めた。




「ええ。私、妹と二人姉妹だったけど、小学生の時に事故で亡くして…。あなたも事故に遭って、でも奇跡的に助かったでしょう?まるで妹が戻ってきたみたいなの。雰囲気も似ているしね。」





看護師さんは少し遠い目をしながら話してくれた。




そして、看護師さんは不意に私に顔を向けた。