記憶の向こう側





「勇樹…?できたよ。」




10分ほどかかって、私は居間にいると思われる勇樹に声を掛けた。





だけど、勇樹からの返答はない。




「勇樹?」




私は居間に入って、寝転んでいた勇樹に近寄り、その顔を覗き込んだ。




勇樹は束の間の休息…という感じで、少し寝息を立てながら眠っていた。




私は起こそうか迷ったけど、その時、勇樹の目がゆっくり開いた。




「あ…叶恵。ごめん、俺、寝てたな。…じゃあ行くか。」




勇樹はまだ眠たそうな目をこすりながらそう言って、立ち上がった。