記憶の向こう側





「何歳ぐらいに見える?」




困った時には、逆に聞いてみる。




困っているのを上手くごまかせるし、自分の答える目安も分かるから。





勇樹は腕組みをしながら考えていた。




「そうだなあ…。23か24ってとこだな。俺より年下。…違う?」



「…勇樹って、何歳なの?」



「25。」




25…


見た目はもっと若そうだったけど、一人暮らしをしたり、しっかりしているところを考慮すれば、何となく納得できた。




…私はとりあえず勇樹の予想の範囲内で答えておこうかな。




「へぇ…。…私は23だよ。」





嘘をついたかどうかも分からない。




もし、実際と違う年齢だったら…





私は少しだけ、罪悪感を感じた。