記憶の向こう側






「決めた。俺、ハンバーグセットな。叶恵は?決まったか?」




勇樹は満面の笑顔で私の顔を覗き込んできた。




「え…、ちょっと待って。」




対する私は、メニューとにらめっこ中…。





私は勇樹と、近所のファミレスにいた。




日が陰り始めた頃で、窓際のこの席からは、まばらに人が行き交う様子が見える。




店の中も、夕飯前の時間帯なので、まだガラガラだった。