お父さんは時たま口を詰らせながらも私に言った。 「春陽には将来の結婚相手がいるんだよ・・・。大手企業の社長の息子さんだ・・・。」 「えっ・・・。聞いてないよ!」 嘘だと信じたい。 これが夢だと思いたい。 竜貴はイマイチ状況が飲み込めないのかポカンとしてた。 「春陽ちゃん落ち着いて。ね?」 戸惑いながらも笑顔を見せるお母さん。でも、上手く笑えてないよ。 私に結婚相手がいるなんて聞いてないよ。 それじゃあ、私には許婚がいるって事だよね・・・。