「お嬢様、お時間ですよ。」


ガチャっとドアが開く音と共に聞こえた声。
この声の主は如月家の執事として仕えている翔の声だ。
ベッドで寝ている私を毎朝起こしに来るのが執事である翔の日課だ。
私が中々目を覚まさないのは毎日の事。


「んー、もう少し。」


頭では起きているつもりなのに瞼が重く、再び眠気が襲ってくる。
本当に朝って苦手だ。


「翔、お願いだからもう少しだけ寝かせて。ほんの少しでいいから。」

「しかし、もう8時ですよ。間に合いますか、お嬢様?」


翔の焦りが混じった言葉を聞くと、さっきまでの眠気が嘘の様に吹き飛んだ。


「本当に・・・?!どうしよう、また遅刻だ!」


昨日も遅刻して担任の先生に怒られたばかりなのに、今日も遅刻したらきっと凄く怒られちゃう。

急いで顔を洗いに洗面所へと向かう。
洗面所に行く途中、色々なメイドさん達が「おはようございます、お嬢様。」と笑顔で挨拶をしてくれる。
だから私も眠たい目をこすりながら笑顔へと表情を変えて挨拶をする。

他人から見たら、おかしな光景かもしれない。
だけど私にとっては、ごく普通の朝なのだ。
これが私の“いつもの生活”なんだから。