「これより、卒業証書~」



体育館に響き渡る声。




そんなの頭のこれっぽっちにも



入っていかない。



なんでだろう。


受け止めたくない...んだ。



でも


「佐久間裕太」


「はい」


その名前が呼ばれると、私の体はビクンと跳ねた。



裕太が校長先生の前に立って



お辞儀をし

卒業証書を受け取る。



....裕太は私よりも少し早くに卒業しちゃった。



この瞬間だけ、時が止まっていた。



「櫻井未央」

「はいっ」


校長先生にお辞儀をした。



「卒業おめでとう」


校長先生はマイクが声を拾わないように



小さな声でそういった。

「ありがとうございます」



そして...この瞬間私も卒業した。