「心~!」


塾に着くと聞き覚えのある声が聞こえた。


「あ、由乃。来てたんだ」


「うん、今日咲夜が休みだから早く来たの」


倉崎 由乃(くらさき ゆの)は学校は違うけど、塾友達で何でも相談出来る一番の友達とひそかに思っている。

そんで、由乃が言ってた咲夜とは
上原 咲夜(うえはら さよ)。
由乃と同じ中学校で、またあたしの塾友達。


「そっかぁ」


「てかね、聞いてよ!」


由乃がいきなり大きな声を上げる。

ちなみに、『聞いてよ!』は由乃の口癖だ。


「ん?何ー?」


「超嬉しいことあったんだ♪」


「マジか」


「マジ!マジ!!あんね、今日好きな人とねぇ」と由乃が興奮しながら恋ばなをし始めた。

塾で由乃に会うと必ず恋ばなが始まっていた。

あたしは別に嫌でもなかったし、むしろ楽しかったからいつも由乃の恋ばなを聞いていた。