「不思議ですか?」 難しい顔をして固まっていると、月瀬さんが耳打ちをしてきた。 視線を上げると、フフッと相変わらず綺麗な笑みを溢す。 「僕は貴女のことなら何でも知っていますよ。もしかしたら、貴女よりもね。」 どうしてそう言いきれるのかと思わずムッとしたけれど、彼のいうことは強ち間違っていないのかもしれない。 一瞬冷たく光った月瀬さんの瞳に、私の背筋をつっと一筋冷や汗が滑る。 少し、恐いと思った。 今朝の夢を、意味もなく思い出したから。 そう、意味もなく。