只今ハバネは魔王の部屋にいる。

少年の父親は、腕組みをしながら何故か顔を歪めていた。

息子は何故自分の父がそんな表情をしているのか理解できていない。



「ハバネよ」

「はい」


魔王は息子に視線を向けたかと思えば逸らし、長く深そうなため息をつく。



「我は、忙しいのだ」

「知っています、父さん」


ハバネの父親は魔界の頂点に君臨する魔王様である。
それはそれは相当な忙しさに違いない。