「旨そうだ」
紙袋に手を突っ込み、パクリ、と口に含む年上くん。
「ハバネも食ってみろよ」
「……」
魔王の心優しき息子は少年少女に目線を合わせるように見やる。
女の子は食べているロックを泣きそうな表情で彼を目に映していた。
男の子はというと、ロックを睨みつけていた目を、視線に気付いた少年は今度はハバネを睨み付ける。
「旨いぜ。 食えよ」
「……いらない」
あんなふたりを見た手前、その奪った食べ物を食べる気には到底なれない。
「ふーん、まぁいいけどさ」
俺が代わりに全部食ってやるからとバクバク食べ続ける。


