飲み物が運ばれて、注文したチゲ鍋が、グツグツと音を立て始めた時、天音がゆっくりと話しはじめた。 「ねぇ、沙絢。沙絢は、まだ秀君のこと、好きなの?」 「……好きじゃないよ。もう吹っ切れたから」 「ふぅん……」 「……何が言いたいの?」 天音は私をしばらく見つめると、チゲ鍋を小皿に分けながら言った。