「ちょっと…みんな見てるよ。大きな声出すなんて天音らしくない……」 「とにかく…とにかく付き合ってよ。秀君は、今日はいないから……」 天音は、そう言うと、カツカツとヒールを鳴らして去っていった。 天音の姿が見えなくなった私は、天音が入れてくれたココアの湯気を見つめた。 湯気にふっと息をかけると、一瞬だけ湯気は消えたけれど、また元に戻った。 「熱が冷めるまでは、時間がかかるもんね」