シオンは、ずぶ濡れになった私に傘を差し出してくれた。 「今日も泣いてるね、沙絢さん」 「…うん。フラれたんだ、私。まだ好きな人に2回も。しかもこう、雨の日に限ってさ」 シオンは、私の頭を優しく撫でた。 「ねえ…シオン。寂しい。私を、また抱いて。こうして、雨の日だけでいいから…寂しい夜だけでいいから」 「それって、その人の代わりにってこと?」