「俺が、いつもこもってる男だけしかいない研究室で、沙絢を抱くなんてさ…俺、これからこの部屋で、集中して論文書けないかも」



「…じゃあ、やめる?」



私が冗談で言ったセリフを、紫音は真剣に受けて



「やだっ。絶対やめない」



と、子どもみたいにだだをこねた。


紫音は、私をお姫様抱っこで抱き上げると、ソファーの上に優しく寝かせた。


私は、紫音の顔を見つめて、両手でそっと紫音の頬を包んだ。