「そう、なんだ…私、追いかけもしなかった。秀君とキスしたことが嬉しくて……」 紫音のことを、放っておくなんて、ひどいとは思ったけれど、そのおかげで私と紫音は出会ったのだと思ったら、許せた。 「沙絢と紫音が逢ったのは、その日だけ?」 「ううん…雨の日だけ会ってた」 「そっか…昨日紫音に沙絢のこと聞いたんだけど、何も答えてくれなくて」