本当に帰っちゃうんだね。 素直な紫音。 「傘は沙絢さんに、あげる」 「うん、ありがとう」 「それじゃあ!」 紫音はそう言うと、霧雨の降る暗闇の中に消えていった。 「私だって…泣いてるんだぞー……」 暗闇の中で、冗談っぽく言ってみて。 そして一人で、余計に虚しくなって。