パチン…

やっぱりお母さんは、私の言い訳には、納得出来ないみたいで、私の頬を引っ叩いた。

静かな家に、悲しい音が響いた。


「あんたねぇ…私が知らないとでも思ってるの!?今日だけじゃないでしょ?毎晩、毎晩、夜遅くに帰って来て…。未成年が、そんなことしていいと思ってる訳?」


私は、この家に居たくなかった。

少しでも、お母さんの暴力の危険から逃れたくて、夜中に帰っていた。

それでも今日、お母さんが言っていることは、普通の母親として、正しいことだった。

だから私は、謝ることしか出来なかった。


「…お母さん、ごめんなさい。明日からはちゃんと早く帰って来るから、許して…。本当に、ごめんなさい…」


私は、殴られるかもしれない恐怖と、お母さんへの罪悪感から泣きながら謝った。


「はぁー…」


お母さんは、ため息をついた。

私は顔を上げ、お母さんの顔色を伺った。


「あのさぁ、私が毎晩、どれだけ心配してたと思ってるの?それを頭を下げた位で、許せる訳ないでしょう?」


お母さんはそう言って、私を殴った。


「…ごめんなさい…。お母さん…ごめんなさい」


いくら私が謝っても、お母さんから叱責を受け、殴り、蹴られる。

私は、お母さんから殴られることに、涙を流しながら、必死で痛みに耐えた。

早くお母さんの機嫌が直って、この痛みから解放されることを、ひたすら願いながら…。