天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ

ガタンと。

会場で席を立つ者がいた。

風紀委員長。

彼は。

「クモノスっっっっ!」

普段からは考えられないような悲壮な表情で、場外のクモノスへと駆ける。

形振り構わず彼女を抱き起こし、一度顔を伏せた後…。

「ストロマ…茜…」

次の瞬間には、両手いっぱいに鉄針を握り締めていた。

「並大抵の責め苦では許さないね…精神崩壊するまで甚振り続けてやるね…」

憎悪、怨念、狂気。

負の感情が彼を支配する。

だが。

「これっ…」

そんな風紀委員長の頬を、クモノスは両手でピシャリと叩いた。

「そういう汚い言葉は使っちゃいけないと…いつも教えてるでやんしょ…?」

「クモノス…何でスペシャルバカなんか庇って…」

その言葉にも、クモノスは両手でピシャリと叩く。

「私は…『天神第二のオカン』でげす…オカンっていうのは…天神学園みんなのオカンでやんすよ?…龍太郎も…お前も…みんな私の子でやんす…」

そう言って。

クモノスは、そばかすだらけの顔で微笑んだ。