天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ

「が…はっ…」

ちょうどリングの端に位置していたのがいけなかった。

傷の痛みと出血によろめいた龍太郎は、そのままリング外へと転落する。

第一の脱落者、丹下 龍太郎失格。

そんな彼の姿に。

「り、龍太郎君!」

雪菜が飛び出そうとするが。

「お待ちなさい」

それを制したのは、こはくだった。

「だ、だって龍太郎君が!」

「そうですね、貴女を庇って僕に斬られました…貴女を脱落させたくなくて庇ったんです…なのに貴女が場外へと降りていったら、龍太郎さんの気持ちは無駄になりますよ、雪菜さん」

キン。

黄昏を納刀し、こはくは雪菜に背を向ける。

「情けをかけては、すーに叱られるかもしれないけれど…龍太郎さんに免じて雪菜さんは見逃してあげます…必ず1回戦に勝ち残りなさい…」