風のように現れ、風のように去って行ったあの人。
「・・・あれ、先輩だから気にしないで」
「え!?あ、うん」
「7時ぐらいから、ずっと呑んでんだよね・・・って、言ってもやまは呑んでないいんだけど」
先輩なのに、ユリナはあの人のことを“やま”って、呼んでいた。
「酔っ払ってないで、あんなにテンション高いんだね」
「まぁ、アイツはいっつもあんなん。悪い人なんかじゃないんだけどね」
「そうなんだ」
悪い人じゃないのは分かる。
ユリナの喋り方で、あの人を嫌ってないことも分かるし・・・何より、集団を見ればあの人の周りに人が沢山いる。
人気者タイプなんだろうなぁーーー
「それよりさ、あんた冬休み何やってんの?」
「え、!?普通に、家にいたり遊びに行ったり・・・」
「ふーん」
おそらく、ユリナは「ふーん」って言うのが癖なんだと思う。
さっきからも、何度も言っていました。
「じゃぁ、暇なんでしょ?」
「え!?」
「家にいるぐらいなら暇なんでしょ?だったら、連絡して」
「え?・・連絡?」
「あたしの携帯にね。寝てるとき以外は出るから」


