「面倒臭いって……千早らしいけど」

「そうだな。あいつらしい」


『順を追って説明したいところですが、何から話せばいいのか……。自分でも整理のつかないまま筆をとってしまいましたから、文脈のかけらもない駄作だと思います。なのでこのページは飛ばしちゃってください。次のページから本編にいきたいと思います』


「出版する気だったのか!?」

「野々宮先輩……突っ込みたいのは山々ですが、俺も正直突っ込みたいですがここは我慢してください」

「皆川君すでに春疾突っ込んでいるからね」

「お前ら続きを読み進めろ」


藤本の声にはいとだけ言って読み進める六人。


『本当に何から書けばいいのかとは思いますが、これだけは最初に言っておきます。

この手紙は、私の懺悔であり感謝であり、本音と願いです。

まず、最初に言うべきことは、きっと今お母さんの腕に抱かれている赤ちゃん、

その子の名は『春夏』です。春の夏と書いて《はるな》と読みます。春疾と夏名から一文字ずつ頂きました。勝手に拝借してごめんね』


春疾と夏名は千早の母の腕に抱かれている赤ん坊を見た。

この赤ん坊が一体なんだ?

千早の妹か弟ではないのか?


「春疾、読み進めましょう」

「ああ」


『この子については後々話したいと思います。

話を変えていきますが、本日4/14に皆様を集めた理由は、簡単なことです。

話し合いを、真実を話したいから、話してほしいからです』

真実!? 話し合い!?

「どういうこと?」

「真実……」

「意味が分かりません……一体何の?」

「さぁな……降川さんたちは分りますか?」


首を振る千早夫妻。

両人意味が分からないようだ。


『話し合いとはお互いがお互いに《真実》を話すのです。思う存分に語って本音をぶつけ合いましょう? わたしは物語を――この物語を作りたい、完成させたいのです。

さぁ、真実を話しましょうか。誰も知らない真実を――』

皆、千早の書かれたことに目を見張り、理解不能だった。

それと共に知りたいという欲望に駆り立てられた。

「これ……どういう意味なんだ?」

「さあ? 分らないわ」