「その・・・約束って何だ?」
皆川たちに問う春疾に皆川は話を無視し、藤本と話す。
「藤本先生、もう千早先輩には挨拶に行きました?」
「いや、まだだ。これからしようと思ったところだ」
「おい、話無視してんじゃねーよ!」
今にも皆川にとっかかりそうな勢いの春疾に夏名は止めた。
「春疾っ!」
「はあ・・・」
皆川は大きなため息をつき、春疾に真っ直ぐと曇りのない目を向けた。
「相変わらずですね、あなたって人は」
「何だと!?」
あなたって人はいつも・・・と言いそうになったが言葉を奥に留め、
少し間をあけ、
「・・・いいでしょう。話してあげましょう」
皆川の上から目線の物言いにカチンとくる春疾だが、怒りを抑え、話に耳を傾ける。
「今日、ここに来るようにって千早先輩から言われたんです。死ぬ前に・・・」
死ぬ前に・・・って、春疾たちは、
千早が生きている時も皆川は千早と会っていたということが読み取れた。
「千早は何で死んだのか知ってるのか?」
皆川に問う春疾。
「……」
何も答えない皆川。
藤本は視線をずらした。
そのことを夏名は見逃さなかった。
「先生は・・・やっぱり何か隠してるんですか?どうして千早が死んだのか分かっているんですか?」
「……っ」
藤本も答えなかった。
この二人の無言の答えに春疾と夏名は二人が生前の千早について何か知っていると確信した。
そして、何かを隠しているのだと。
