封筒の中に入っている紙の束を取り出す。

1000枚近くありそうだ。


やはり、手紙だった。




紙には千早の直筆と思われる、

書道の達人のように丁寧で綺麗な字で書いてあった。


『拝啓 野々宮春疾様、守山夏名様、お父さん、お母さんへ』



しょっぱなからツッコミを入れさせる気か。

と春疾たちは思った。

千早の書き方は相変わらず変わっている。

その書き方になつかしみを佩びる春疾と夏名。





『だって、その方がいいでしょ?』

『だからって、何で拝啓なんだよ!おかしいだろ!』

『どこが?』

『どこがってな…』

『ねー。千早、あたしは春疾に同感よ』

『えー。私だけ仲間はずれ?』

『『違うから!千早の書き方がおかしいだけ!』』

『おかしくないわよ』

『いやいや、ほんと、おかしいから!【拝啓】は手紙に使うもんだろ』

『だから手紙じゃない。現代文化において、メールというものは昔でいう手紙なのよ』

『その前に、最後に草々が抜けてる…』



そんな昔のことを思い出された春疾。