「なんで・・・千早は何も言わずに行ったのよ・・・」
その言葉を答えるかのように春疾は言う。
「言わずにというか、俺らが言わせなかったんだろ・・・。千早は言えなかったんだ。喧嘩したまま―――」
そう、春疾たちは最低な別れ方をしたんだ。
千早に何も言えずに、言わずに去られた。
残されるのは後悔と罪悪感と未練だけ。
「なんで千早が死んだのよ!」
「知るかよ!俺が知るわけないだろ。今日初めて知ったんだ――2ヶ月前に死んだと」
苦痛の顔をして春疾は顔をそらす。
夏名は今日初めて、千早が2ヶ月前に死んだことを知った。
春疾たちは半年以上も千早と会っていなかった。
連絡すらも取っていなくて、今日久しぶりに千早に呼び出されたのだ。
しかも、再会は最悪の形だった。
こんなのってない!千早は春疾たちに罰を与えたのか。
「今日、久しぶりに会ったのよね・・・あたしたち――」
「あぁ」
「なのに、1人だけかけている」
「そうだな・・・」
「千早はいつもそう。何も告げず自分だけ分かっていて」
「そういうやつだったな」
そう千早は春疾たちにとって最低なやつだったけど忘れられない自分たちにとって大切な人だった。
最悪な形で残していった。
多分このことは一生消せないものとなる。
それを分かっていて千早はやったのか。
千早はどうして死んだのか。そこのことが春疾たちの脳内に引っかかる。
それにこのメールは誰が送ってきたものなのか。何のためにこんなことをするの。
千早風オリジナルの独特のメール…こんなことは誰にもできない。春疾たちしか知らない千早の文体。
一体誰…?
なぜ春疾たちは呼び出されたのだろうか。
「ねぇ…さっき千早は2ヶ月前に死んだって言ったよね…」
「ああ」
「じゃあ、このメールは何?誰が送ってきたのよ!?」
「こんなメールするのは千早しかいない…」
「そうよ!千早しかいない…だけど―――」
千早はいないと夏名の声は小さくなった。
「それは――私が送ったのよ」