ウサキ


もう疲れた。



幸せな気分を覆したのは
やっぱりあの人。



学校が終わって帰って来たら、お母さんがいた。



「何しに来たのよ…」



「お母さんね、結婚したの。」


「結婚!?
ちょっと待って!勝手に決めないで!」



「アンタは桐野じゃなくて
上野になったわ。」



何で勝手に…

私まだ相手見たことない。


「意味わかんない。」



「だからアンタうちに来なさいよ。新しいパパも会いたがってる。」



「新しいパパ?ふざけないで!どーせろくでもない奴でしょ?私いかないわよ。」




「そう。
ならいいわよ。アンタなんてどーせいらないし。
私にはミツルさんとの可愛い赤ちゃんが居るから。勝手に暮らしてよ。」



え…



何故かお母さんの顔は
平然としていて…




すんなり帰ろうとする…



「私はいらないってこと?」



わかってる。


いらないってことくらい…



「いらないに決まってるじゃない。」



にこやかに言う実の母親。


残された私は、




ぽっかり穴が開いたみたいだ…




あんな母親いらない。


私…なんの為に産まれてきたんだろ…




寂しくなって、




詩音に電話したけど…



打ち上げ中だった。



あ~あ。



いっそ死のうか…



多分疲れてた…



だから包丁に手を伸ばしてた。