夜の街を、不釣り合いな歳の私はただ歩いてた。

すれ違うオヤジ達のなめ回すような目線。

幸せそうに歩くカップルか夫婦。
あ~みんな…
なんて吐き気がするんだろう。


私は、そんな事をぼ~っと考えては、いく宛もなく歩き出した。


暴力。
虐待。
怒鳴り声。


私の世界は、それしかなかった。少なくとも、それしか見えなかった。

殺されるかもしれない恐怖が、これほどまでに心を蝕む。


あぁ。

私には、抜け出す手段なんてないんだな。

だって、こんなにも心にはなにもない。


でも、涙はまだ出た。
それは、なぜだろう。