少し、ほんの少しの間、白い空間に沈黙が続く
次に口を開いたのは女だった


「随分と簡単に答えが出ましたね、

少し位悩んでも良いのですよ?」



女が優しく問いかける


「そこで悩んでたら、所詮はそれぐらいの「願い」の軽さだって事だ。

残念ながら俺の願いはそんな軽いものじゃないんでな」


男は女の目を見ながら答える



「では、あなたの願いは本当にそれでいいのですね?」



男はためらいなく言った




「もぉちろんさぁ!」



男の背後に巨大なド〇ルドの幻影がランランルーをして・・・

いることもなく、さっきの沈黙とは別の白けた空気が流れ出す



「勿論だ」



言い直しても遅い気がする



「それに、この願いはガキの頃からの願いさ。
そんな簡単には変わらねぇよ」


男のその返事に満足したのか女は


「あなたの言葉に嘘偽りは無さそうですね、安心しました。

それでは失礼します」


そう告げて去ろうとした


しかし男が前に立ち塞がる



「待て!まだ俺の質問には答えてねぇだろ!

俺の質問に答えてから行け!」



この男は口が悪いみたいですね

どうにかならないのでしょうか・・・



「なんでしょう?」


男の口の悪さに顔をしかめながらも笑顔で問いかける女

・・・とてもいい女です



「何故?何故に俺なんだ?何か理由でもある「無いです」


口の悪さの仕返しとばかりに、最後まで話を聞かずに答えを出す


・・・案外、悪女かもしれません


そして案の定、男の顔が不機嫌になっていく様子を見て
恍惚の表情を浮かべている



・・・前言撤回、完璧にS女です



「そうですね、強いて理由を付けるとすれば・・・、
私はヴェルタース教なんですよ


だから、ドナルド教のあなたがどんな願いをするのかと興味が少し沸きまして・・・」


女は悪戯っ子の様な顔をしてそう答えた


男は開いた口が塞がらない様子でいる



そんな男に女は最後にもう一言付け加えた


「私の教祖様・・・魔王様も仰られてたでしょう?」



「なぜなら彼もまた、特別な存在だからです、と」