あなた色に染まりたい

涙がポロポロ……とあふれてくる。



「…――さんっ……紗羽さんっ!」



どこか遠くで、蓮の声がする……



蓮……


蓮……


蓮っ――…



助けてっ――…





目の前に広がったピンクが視界に入るのが怖くて、目を開けられない。





「れんっ――…」



絞り出すように言葉を放つ。



「紗羽さん!」


「れ……ん…?」


「俺、ここにいるよ!ちゃんとこっち見て!」



そう言われてすぐに、体がフワッと包まれた。



蓮の温もりだ……


蓮の匂いだっ――…



この温もりに包まれてたら、少しずつ落ち着いてきた。



ゆっくり目を開けると、目の前の桜はやっぱりグリーンで……



あたしを包んでくれているのは、今一番ほしいと思っていた蓮の温もりだった。



「れ…ん…」


「大丈夫?」


「うん。」



蓮のいつものやさしい笑みにホッとしたのか、そのまま背中に腕を回して、ギュッとしがみついた。