あなた色に染まりたい

「真っ暗だね」



海に着いて車を降りたはいいけれど、目の前には真っ暗な景色が広がっていた。


だけど、水面に月の光が反射してキラキラしているから、海が凄く輝いて見える。


それに誰もいないからかめちゃくちゃ静かで、打ち寄せてくる波の音がやさしく耳を撫でてきて、心が穏やかになっていく。


そんな海の景色を全身で感じながら、こうやって蓮と手を繋いで波打ち際を歩いていると、いつものことながら蓮への気持ちに気付いた日のことを思い出す。



あのときもこんな風に手を繋ぎながら砂浜を歩いた。


キツく握られた手を見ながら……
一歩前を歩く蓮の横顔を見ながら……



『蓮のことが好きだ』



と自覚した。


そして自覚した瞬間から、蓮の表情一つ一つに、蓮の言葉一つ一つに、頬が熱くなるほどどきどきして、蓮の顔をまともに見ることすらできなくなってしまったんだ。



――あれからもう2年経ったんだ。