あなた色に染まりたい

「乾杯」



そう言って缶同士を合わせてきたけれど……



「何に乾杯?」


「んーそうだな、二年前と変わらない気持ちでこうやってここに来れたことに、かな。まあ俺だけだけどな」


「うん」



そう言って、今度はあたしから缶をコツンと合わせたけれど……



「あたし、あの頃から蓮のことが好きだったのかもしれない」


「えっ、あの頃って……二年前にここへ来たとき?」



蓮の目が大きく見開く。



「うん。あの頃って恋することに臆病になってたし、それに……あたしはもう恋なんてできないって思ってたから。だから……、蓮への想いに気付けなかったんだ」



二年前ここに来たとき、蓮の仕草や行動にいつもどきどきしていた。


でもそれは、あたしが男の人への免疫が減ってしまったからだと思っていた。


でも……


今ならはっきりと言える。


あの頃から蓮に恋していたんだって……